コロナ流行下における歯のメンテナンス継続の重要性と歯科医の取り組みを、2020 年 9 月 26 日に開催された日本老年医学会関東地方会で発表しました。
2020.09.26(土曜日)
コロナ流行下における歯のメンテナンス継続の重要性と歯科医の取り組みを、2020 年 9 月 26 日に開催された日本老年医学会関東地方会で発表しました。
コロナの流行に伴って歯科医院受診に不安を感じている方もいると思います。
「不要不急の 外出を避ける」「3 密を避ける」といった呼びかけがあり、歯科医療機関でも患者数の減少 が認められました。回復傾向にはありますが、現在でも完全には回復していないと考えられ ます。
WHO(世界保健機関)の暫定ガイダンスでは、緊急性の低い場合には受診の延期を 検討するようアナウンスがありました。
それぞれの国々で状況や取り組みは異なることか ら、日本やアメリカの歯科医師会はこのガイダンスに反対意見を表明しています。
“with コ ロナ”の望ましい歯科治療とはどのようなものなのでしょうか? 内容: 歯科治療を受けている人は受けていない人よりも、高齢期になっても自分の歯がしっかり 残っていることが明らかにされています(J Oral Sci. 2018;60:611-17)。また小さいときに 歯の問題が多いと、その問題は年々増加していくことも明らかにされています(J Dent Res. 2008;87:69–72.)。
歯の健康が体の健康と密接に関わることが近年様々な研究から明らかにされつつあり、生 涯にわたって自分の歯を維持する「8020 運動(80 歳になっても自分の歯を 20 本以上保ち ましょう)」から、歯の本数のみならず歯や口の機能を保つ「オーラルフレイルの予防(口 の脆弱性の対処)」の考え方が重要になっています。
そのため画一的かつ一律的な歯科受診 の延期は、⾧い目でみた時に人々の健康に対してデメリットが多い可能性があります(オー ラルフレイルの進展・悪化)。
以上のことから、新型コロナウイルス感染症の流行状況、歯に問題が多い人なのか少ない人 なのか、コロナに感染した時に重症化しやすい人なのか(持病をお持ちの方やご年配の方な ど)といった点を踏まえて、それぞれの患者ごとに最適な受診時期や受診間隔を定めて、可 能な限りメンテナンスを継続していくことが重要です。
当院でも消毒や換気などには気を 付けています。歯科受診はついつい受診を先延ばしにしがちです。違和感や心配があれば、 ぜひ早めにかかりつけの歯科に相談して頂ければと思います。
発表: 第 72 回日本老年医学会関東甲信越地方会(2020 年 9 月 26 日東京開催)
「オーラルフレイルと新型コロナウイルス感染症」 大村 明子 1, 大村 基守 2 1 うきま歯科医院 2 日本大学松戸歯学部保存修復学, おおむら歯科医院